最も静かな サイレンサー を自負する CGS。驚愕の3Dプリンター製チタン サイレンサー の実力とは?
CGS (Chaos Gear Supply)Groupというサイレンサーメーカーをご存知だろうか?エアソフト業界ではまだまだ知名度が低いが、実銃のインストラクターやシューターによるレビューや、メディア・SNS等を通じた露出も多く、最近注目を集めているサイレンサーだ。
チタン製で軽量という点では特に他メーカーのチタンサプレッサーとの差はないが、 CGS はDMLS(Direct metal laser sintering:ダイレクトメタルレーザー焼結)という金属3Dプリント技術により複雑な内部構造を実現しているところが特長だ。
また、NOVESKE DEVGRU N4への採用で知名度を上げたDEAD AIR SANDMAN-Sが5.56×45mm NATO弾との相性の悪さにより契約解除となったとの情報もあり、 CGS ではDEAD AIRフラッシュハイダーに取り付け可能なアタッチメントを用意するなど、かなりDEVGRUを意識した商品開発も行っている。(単純に、DEAD AIRの市場拡大に合わせただけかもしれないが…。)
そんな CGS Group の要注目モデルである HELIOS QD がエアガン用レプリカとしてAirsoft Artisanからリリースされた。実銃界のトレンドをいち早く取り入れるスピード感。流石はArtisanだ。
再現性の高い CGS HELIOS QD レプリカ
先述の通り、 CGS Group では現行の多くのモデルを3Dプリント製としているためサイレンサー表面は独特な粗目となるが、要所要所にポリッシュ加工を施すことにより洗練されたデザインへと昇華している。Airsoft Artisanではここまでの粗目ではないものの、ブラストされた面とポリッシュされた面の質感の差をうまく再現しており、複雑なデザインをエアガンパーツとして見事に形にしている。
素材はさすがにチタンではなくアルミニウム合金となるが、GREYカラーモデルでは僅かにブラウンがかったチタンカラーをアルマイトで表現。ディテールのカッコ良さと併せ、存在感のあるフロントフェイスを実現する。チタンカラーとは別にブラックカラーも用意されるが、こちらについてもポリッシュとブラストの差がハッキリとしており、現代的な機能美を堪能することができる。
内部構造については残念ながら消音材はなく筒状のスペーサーが入るのみとなるが、分割式となるためトレーサーユニットをセットすることも可能。前後のキャップが着脱可能なため、自身でスポンジ等をカットしてDIYするのもオススメだ。
なお、 CGS HELIOS の刻印は弾薬表記に5.56mmとあるが .300ノルマ・マグナム弾までの口径に対応したサイレンサーで、7.62x51mm NATO弾や近年主流になりつつある.300BLK、また6.5mm Creedmoor や 6.8mm SPC などの中間弾薬にも対応している。エアガンで5.56mm のAR-15仕様を再現する場合は10インチ以上のアウターバレルで、それ以下のショートバレルの場合は.300BLK亜音速弾想定でガスブロックを近づけるか、中間弾薬以上の口径を想定すれば違和感のないセットアップが組める。
取り付け機構別に2モデルを展開
実物の CGS HELIOS についてはバレル直付けのスレッドパーツ2種とCGS専用QDアタッチメントのほか、オプションによりDEAD AIRフラッシュハイダー用のアタッチメントも用意されるが、Artisanでは14mm逆ネジに置き換えた直付けスレッドのみの廉価版と、DEAD AIRフラッシュハイダー及び専用アタッチメントが付属したフルセットの2モデルを展開。DEAD AIRフラッシュハイダー装着モデルはスレッド直付けに比べ約40mm延長されるため、印象も大きく変わる。
実銃における話にはなるが、チタンサプレッサーを使う意図はその軽さにあるため、ハイダー及びアタッチメントの併用は重量が増すなど利便性に反して本来の目的を失うことに近い。そのため実銃においてもサプレッサーのバレルへの直付けはオーソドックスな方法である。
見た目もシンプルにまとまり重量を抑えられる廉価版か、用途に合わせて直付けもアタッチメントも使用できるフルキットか、お手持ちのライフルに合わせて選択して頂きたい。
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CGS HELIOS QD TI とは?
実物の CGS HELIOS サイレンサーは金属3Dプリンターで成形されるが、3Dプリンターと聞くと耐久性は大丈夫なのかと思う方も多いだろう。金属3Dプリンターは金属粒子をレーザーで溶着させながら1層ずつ積層させていくが、 CGS Group が用いるDMLSは金属の切断にも使用される高出力レーザーで緻密かつ均質に焼結させるため、航空宇宙・防衛産業でも実績のある成形方法だ。
均質というところがミソで、一説には分子結合が強固となるため通常の金属生成に比べて見劣りしないどころか、より強い金属となるとも言われている。
また、DMLSの最大のメリットは従来の金属加工プロセスでは不可能な複雑な構造を実現できることにある。金属3Dプリンターを用いることで、これまでの製造方法では実現できなかったサプレッサーの内部構造を一体成型することに成功している。
また CGS Group が特許を取得したVariable Core Diameter(VCD Technology)もまたユニークだ。サプレッサーの内部には2つの異なる径のバッフルが存在し、前半は高圧ガス、後半は低圧ガスに対応しており、より効果的な減炎減音を実現しつつ着弾の精度もキープする高性能さがウリとなる。このパフォーマンスについては CGS Group の過大な自己評価に苦笑しつつも多くのレビュアーが認めるところではあるようだ。しかし、 CGS 製品の最大のネックは「価格」と他メーカーチタンサプよりは「重い」という点にある。
世界で最も静かなサイレンサーを自負するだけあり、Youtubeのレビューなどを観てもその効果は絶大だ。サプレッサーとしての最大限の効果を発揮しつつ着弾点の精度も素晴らしいが、チタン素材の耐熱性・耐久性の問題(本来、耐熱性や強度は高い素材だが、熱伝導率が低く高温かつ高圧に晒され続けると硬化して割れやすい)から軍用や法執行機関系の採用は難しいかもしれない。しかし CGS Group ではもちろんチタン以外の素材モデルもあるし、何よりDMLSの更なる強みはあらゆる金属素材を成形できることにある。
Artisanがレプリカとして発売した CGS HELIOS は今後の CGS Group の飛躍を予測してのモデルアップと思われるが、新世代のスタンダードとなる可能性を充分に秘めたサプレッサーであることは間違いない。
SUREFIREなどシンプルなデザインに飽きてしまったサプレッサーユーザーには、 CGS Group LLCは是非とも注目して頂きたいメーカーである。